2月
13
桜の葉の秘密・その2

さて、昨日に引き続いて「桜の葉」のお話。

昨秋、展示会で三島まで行く機会があり、その際に西伊豆・松崎町にある桜の葉の生産者さままで訪ねたのですが、着いて早々に

「やっぱり畑がみたいでしょ」

と言われました。もちろん見たい!でも、桜の葉の畑って?そもそも桜って“木”でしょ?
と、疑問を抱きつつ、車の助手席に乗せられて山道を疾走。
途中小さな建物が見えるとそこで止まり

「お~い!ばぁ~ちゃん!」

と、声をかけると足腰丈夫そうなお婆ちゃんが現れた。

桜の葉のおばあちゃん 

「桜の葉の畑を管理してくれているお婆ちゃんだよ」

と、ご紹介くださいりました。
そして車に同乗し、さらに急な坂道を登る事約5分、ようやくその畑に着きました・・・!ん?

私はてっきり、桜の木が植わっている姿を想像していました。
しかしそこには細い枝があちこちに、にょきにょきと生え、その先には確かに桜の葉が生えていました!
確かにこれは「桜の葉の畑」に間違いありません!

お婆ちゃんの話ですと、
「40年ほど前までは、木に登って葉っぱを取っていたけれども、ある日伐採された桜の切り株から、枝が生え、その枝に葉っぱが生えているのを発見して、それ以来はずっとこの育て方だよ」

とのこと。確かに、花も実もつける必要ないので葉を取るには背も低くとても効率的。

 

さらに葉を手にとって話を続けてくれました。

「食用にする桜の葉は大島桜を使うんだよ。大島桜は葉の裏に毛が少なくて他に比べると柔らかい。」

のだそうだ。

「でもこの畑の大島桜はほとんどが交配種。桜餅に合わせて小さめの葉っぱが好まれるから、小さい葉っぱに改良されたもの。大島桜そのものの葉っぱはとっても大きくてね。」 

さらに続く・・・、

「お兄さん、匂い嗅いでごらん。何にも臭わないだろ。桜の葉っぱは塩漬けにされるて初めて“クマリン”と呼ばれる成分が抽出されて、あの独特の香りになるんだよ」

なるほど!確かに桜並木を歩いても、あの桜の香りはした事ありませんね!まだまだ知らない事はたくさんあります。

「爺様と二人でこの畑もやってるけど、後何年できる事やら・・・」

と、饒舌に話をしていましたが、ぽつりと本音が。こんなところにまで後継問題がありました。
 
畑を下り、先ほどの 建物の前に着くとその爺様が待っていました。
ん?肩から何かぶら下げている?

「爺様の本業は兵隊さんだよ!ハッハッハ」

なんと肩からぶら下げていたのは鉄砲でした。
もちろん、兵隊さんと言うのは冗談で、普段は猟師もされているそうです。

 

連れて行かれるとそこには撃ったばかりで川で血抜きをしている猪の姿が!!

「こいつはまだ小さい子供だよ!」

と爺様!こんなに大きいのに・・・!

「こいつら、最近は餌が少ないから、さっきの桜の葉の畑まで荒らすんだよ!たまったもんじゃない!だからこうやって喰っちまうんだ!ハッハッハ!」

と、豪快に笑うお婆ちゃんですが、その陰には環境問題も見え隠れしていますね。

さくら」 と言う、90gの小さなチーズに使われている、たった一枚の葉っぱ。
そんな中にもさまざまな物語、そして社会問題まで抱えているとは、現地を訪ねるまで私自身も考えても見ませんでした。

チーズと言う小さな中に、共働学舎だけでなく色んな方の様々な思いや物語がまだまだ詰め込まれています。

お召し上がりになる機会がありましたら、ちょっとそんな事を思い出してみてくれますと、また一味違った楽しみができるかもしれませんね。

この山の上に桜の葉の畑があります

hi^-^de

 

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